夜明けはいつになりますか

発達障害持ちゲームオタク、社会からドロップアウトするの巻

博物館の中の扉

 せっかくの休日を転職活動のみに使うと、きっと気持ちが腐ってしまう。
 大阪で幾つかの面談をハシゴした僕は、合間に大阪歴史博物館のお守り刀・二次元VS日本刀展に行って来た。

 最近の博物館は「写真撮影自由」というのが結構多く、この日本刀展も撮影禁止の展示品は僅か二点だった。僕も印象的だったものを二つ撮影させて貰ったのだけれど、一方は写真としてあまりに地味、一方は現物を見て感動して貰いたいので、恐縮ながら写真はアップしないでおく。

 僕は元々、博物館や美術館が好きだ。心がおうち大好き引きこもりなものだから目ぼしい特別展がないとなかなか出向かないけれど、とりあえず興味を持つ側の人間ではある。
 こと美術品は、現物を見てナンボだと思う。写真で見れば十分、という人に対しては胸ぐらを掴んで往復ビンタをかましたくなる。

 いや、残念ながらそういう気持ちも分かる。美術館目当てで海外旅行に行くような両親を持った僕ですら、絵画は「綺麗だとは思うし価値のあるものなら見ておくか」という程度にしか認識していなかったのだから。
 僕の転機は20歳の時に訪れた。一枚の絵に視線が吸い込まれ、絵の世界に入っていくような錯覚を覚えた。
 その時に僕は、言葉では説明し難い絵画の扉を開く方法を学んだのだろう。歴史的・美術的価値についての造詣は未だ皆無であるが、絵を見て感動出来るようになった。開きたくなるような扉に出会ったことがない、扉の開き方を知らない人が無関心なのは仕方がないとも思う。

 今回覗いた日本刀展も、どちらかと言えば美術展に近い。現代刀匠の作品には当然歴史的価値はなく、職人の技術と金属の機能美が展示されているという印象である。歴史的な謂れなら文字にしてここに書くことも出来るが、見ているだけで怖くなるような銀色は写真に写し取れるものではない。
 二次元とのコラボ企画では漫画に登場した刀の再現の他、イラストレーターと刀匠でデザインを練りながら作った刀も展示されている。物理法則や材料の強度を無視出来るというイラストの特権を放り捨てて作られた刀は、いずれも美しく強烈な存在感を放っていた。こちらも写真では何の意味もないことはお分かり頂けるだろう。

 誰にでもオススメ出来る展示会だとは、残念ながら僕には言えない。二次元とのコラボ展示もオタク相手なら無条件に勧められるようなものではなく、武器をキャラクターの付属品・小道具としか捉えていない人は肩透かしを食らいそうだ。
 代わりに武器自体に燃えを感じるオタクさん、そして工業品を美しいと思える人にとっては大変面白い展示だと思いますので是非どうぞ。