夜明けはいつになりますか

発達障害持ちゲームオタク、社会からドロップアウトするの巻

流行語大賞という名の烙印

 少し前に発表された「2014年流行語大賞」。一年間の時事ネタや名言珍言を振り返る、年末恒例の企画だ。これにノミネートされるというのはそれだけ注目を集めたということで、選ばれる理由には良いものも悪いものも混在している。

 芸人さんのネタが選ばれるのは、もちろんウケているということだから良い理由でのノミネートであり名誉なこと──なのだろうが。

 一回きりの珍言ならともかく、お笑いのネタを安易に候補に入れないで欲しいと僕は思う。受賞した芸人が売れなくなるというジンクスがあるからだ。

 ジンクスと言っても、ちょっと考えればからくりはすぐに分かる。
「2014年の流行語大賞に輝きました!」
 ということは、そのネタは2015年には当然去年のものという扱いを受ける。「もういいよそれは」「新しいことは出来ないのか」等と観客に思われてしまえば、流行語になるほど受けたはずの看板ネタが使えなくなる。芸人にしてみればこれほどの痛手はあるまい。しかも一度は売れてしまったものだから、二枚目の看板作成の難易度は恐ろしく高い。

 同じお笑いでも、そう来ると思った、待ってました、あるいは「やらないのかよ?!」──細く長く使える鉄板ネタ・定番オチというものがある。予測出来るのに笑ってしまう、この路線を突き詰めた結果が、例えば吉本新喜劇の様式美だ。

 瞬間の爆発的人気と様式美化、どっちが良いのか僕には分からないが、当事者の芸人さんには流行語大賞を辞退するという選択肢が必要なんじゃないだろうか。流行語大賞とは過去の人の烙印であり、徹子の部屋の上を行く最強の芸人殺しなのである。