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元ニートの労働条件の軌跡

 このブログは「脱ニート 人が怖い」で検索すると上位に表示されるようだ。僕も元ニートとして、現役ニート諸君の健闘と幸せを祈っている。

 さて、今回は僕が働き始めてからの労働条件なんかを書いてみようと思う。きっと上記のようなキーワードで検索してくる人は精神的にも現実の制度上でも手がかり足がかりを模索しているのだろうから、何かの参考になれば幸いである。昨日の記事はそのための下準備だったり。

1.ニート、日当8000円のインターンシップに行く

 大学卒業から辛うじて三年以内の身だった(不登校だったので書類上だけの話だが)僕は、国の第二新卒支援プログラムを利用させてもらった。第二新卒以外でも、似たような就職支援制度、職業訓練などがあるようだ。
 これはインターンシップ実施が困難な中小企業に対し、国がその費用を肩代わりするという制度。求職者はインターンシップという扱いで給与が貰え、企業の側は金銭的投資ゼロで人材の吟味が出来る。
 聞くところでは「誰にでも出来る雑用をインターンシップ生に押し付けて、インターン期間終了後はポイ」という企業も多いらしい。参加しさえすれば就職確約、技能が身に付く、といったものではないし、身銭を切って新人を採用する気がないという時点で、参加企業の大半はブラックだと考えていいと思う。
 ただ、企業はお金を出す必要がないため、採用の際のハードルはアルバイトよりも低くなる。職場に入ってしまいさえすれば、履歴書の最後の行は「○○にてインターンシップ就労」に書き換えられる。ニートなら金を積んだって欲しい一行だろう。
 僕はここでCADを扱う企業を選んだ。事務所は隣県だったから交通費が嵩んで、実際の手取りは一日あたり6000円を割っていたが、この選択は正解だったと思っている。
 通勤時間は片道2時間弱、時給換算700円、スーツや鞄への初期投資で収支はマイナス。なかなかに辛いスタートであった。

 

2.元ニート、月手取11万円(残業代込)のブラック企業に就職する

 読みは当たった。CADオペレーターという職は僕の性格にハマっていた。CADオペという仕事の特殊性については別エントリで書いているので、そちらを参照して欲しい。

akeyami.hatenadiary.com
 ここで僕は一つの選択を迫られる。インターン期間の終了後、同じ企業に就職して働き続けるか、再び就活に戻るか。
 僕はそのまま就職する道を選んだ。ブラックなのは分かっていたが、「インターンシップで不採用になった」という扱いを受けるのは嫌だったし、どうせなら一年分の職歴を買わせて頂こうと思ったのだ。
 月々の基本給は14万円、通勤片道2時間弱、交通費支給は上限あり、週休1日、残業は月30時間がノルマで、実際の平均は50時間を超えた。?
 なんでこの条件で人が働いてくれると思うんだろう。僕自身、働く気がちょっと出てきただけのニートに過ぎないという負い目がなければ、ここに就職はしなかったはずである。
 金を稼いでいるなんて思うな、図面の専門学校に通いながら職歴を買っているのだ。就職一年目の僕の意識はそういうものであった。

番外.黒社畜、転職活動をする

 就職から10ヶ月目で、本腰を入れて転職活動を始めた。上記のような条件で働きながらの転職活動は辛かったが、僕はこの時期に「渡る世間に鬼はなし」という言葉が事実であることを知った。
 元ニートでコミュ障で人間が怖い、こんなクズを働かせてくれるのはどうせブラック企業だけだ……
 そう思っていた僕を、色んな人が励ましてくれた時期である。
 転職支援サービス会社のカウンセリング、ハローワークでの面談、派遣会社にもスタッフ登録に行った。向き合って話した生身のスタッフさんたちは、みんな優しかった。
 無条件で優しい人たちだったわけでは、必ずしもないと思う。ニートが脱ニートしようとジタバタ足掻いて、一年掛けてソフトの扱いやビジネスメールの書き方を覚えてきた、そこが評価の対象になったのだ。ただのおちこぼれに無条件に手を差し伸べてくれる聖人は少ないが、這い上がろうとしている者に手を貸してくれる人ならそこらじゅうにいる。
 僕は色んな転職相談所でアドバイスを受けながら、履歴書を書き直し、応募すべき企業についても考えていった。

3.元社畜、時給1100円の派遣社員を満喫する

 そんなこんなを経て、僕は今、派遣社員の身の上である。
 非正規労働者の強みは、自分の意思で休みの期間を決められることだ。いつでも休職出来るということは、ボロボロの心身を引きずっている僕にとっては大変な魅力だった。
 転職活動中、「あなたの長所は短時間では伝わりにくいですね」と複数のカウンセラーさんに言われたこともあり、紹介予定派遣(派遣期間終了後、双方の同意があれば正社員として登用する制度)の利用も視野に入れての選択である。

 ここでは僕が紹介された仕事について書いておこう。

・A社:医療メーカーでの設計補助
 時給1600円(能力に応じて昇給あり)
 交通費支給なし
 一日八時間勤務・土日祝休
 残業月10時間程度(繁忙期除く)

・B社:機械部品メーカーでのCAD操作および事務
 時給1300円(能力に応じて昇給あり)
 交通費上限2万円・制服貸与有
 一日八時間勤務・土日祝休
 残業月20時間程度
 将来的に社員登用の可能性あり

・C社:建築図面作成
 月給20万円(昇給あり・臨時賞与の可能性あり)
 交通費満額支給
 一日八時間勤務・土日祝休
 残業ほぼゼロ

 目を見張るほどではないとしても、まずまずの条件である。

 残業が少ないのは、僕が体力に自信がないと申告してあるため。CADオペを必要としている職場なんてのは大体が忙しくて夜も遅いから、残業代でバリバリ稼ぎたいです!という人にはもっと時給のいい仕事も回ってくるようだ。
 僕が実際に働いているのはC社。時給に換算すれば1200円以下と一番安いのだが、福利厚生は下手な企業の正社員よりも手厚い。おまけに専門性の高い分野の研修カリキュラムがあって、これは専門学校等で習得しようとすると数十万円は取られる。
 研修がない日も定時にさっさと上がって、趣味にどっぷり浸ったり、勉強したり、友達と食事に行ったり。これで年収250万円なら、とりあえずは安心していいと思う。


4.このままでいいと思ってるわけじゃない

 現状、非正規雇用かつ薄給には違いないので、そこは不安ではある。だから研修を受けているのだし、資格の勉強も始めた。
 とはいえ最悪でも無職に戻るだけ、という開き直りの姿勢は、今の僕の強みと言えるかも知れない。職を失っても働く意思がある限り、どん底ニート時代よりはマシだと思っている。勉強は楽しい、出来ることが増えると嬉しい、そう思うだけの余裕がある。
 何のために働くのかといえば、僕の場合、自分が楽しく生きるための資金を稼ぐことが目的だった。今のところ、その姿勢は徹底出来ていると思う。楽しくならないように気を付けながら、少しずつ這い上がって行きたい。