夜明けはいつになりますか

ゲーム畑在住アラサーオタク女、ニートからの社会復帰一年生による思考記録。

ポケモンの 少なきことは 素晴らしきかな

 引き続きポケモンネタで失礼する。


ポケットモンスター ジ・オリジン】
 大雑把に説明するなら、「忙しい人のためのポケットモンスター 赤・緑」「初代の懐かしさをとくと味わうがいい、でも新作も買ってね」というアニメ。クリアに20時間は要するゲームを1時間半に端折ったのは暴挙ではあるが、うまくまとめてあると思う。
 あとは本当にどうでもいいことだが、主人公のレッドに声を当てているのがメダロットメタビー役の人なのが衝撃的だった。そうか、使われる側からマスターの方に回ったのか……そしてマサキはどこに消えてしまったんだ、あのキャラ好きなんだけどな……
 我が家はテレビ東京系列が映らないので初放送は見られず、痛恨の録画ミスにより衛生放送も視聴出来ず、結局ニコニコ動画のお世話になった。遠回りをしたようでいて、ニコニコで見たのは正解だったと思う。コメント欄に他の視聴者の発言が反映されるからだ。

 このアニメとコメント欄を見て確信したことがある。

 少ないことは、良いことだ。

 赤緑に登場するポケモンは全部で151種類。登場人物のセリフは少なく、ゲームの進行に応じたセリフの変化など尚更ない。元々の量が少ないので、赤緑を遊んだ人たちはほとんど同じ内容、同じ量の情報を共有している。

 例として、主人公の家の前を歩いている人のセリフを挙げてみよう。
「かがくの ちからって すげー!」
 街の人は2~3人しかいない上に、主人公がリーグチャンピオンになろうがポケモンマスターになろうが固定のテキストだから、これを知らないプレイヤーは居ないはずだ。

 故にこのセリフは、ポケモンを遊んだ人たちの合言葉として機能する。

 合言葉とは言わないまでも、同世代、あるいは同郷の相手にしか通じない話題には誰でも心当たりがあるだろう。この話が出来るなら、私とあなたは同じ集団に属する仲間──人間は帰属意識の根拠を得ると、ひどく安心する。
 ゲームのセリフも例外ではなく、「こうねんは じかんじゃない! きょりだ!」「ひとのものをとったら どろぼう!」「そして俺は今、ポケモンリーグの頂点にいる!」とまぁ、この辺が通じるならポケモン仲間なのは間違いない。ニコニコではその手のコメントを大量に見た。
 そういう初代ポケモンユーザーのみんなが知っている要素を総回収した「オリジン」は、言わば初代ポケモンユーザーに向けた壮大な内輪ネタ作品だったのだと思う。
 悪いことではない。ポケモンが先駆けとなり、今では当たり前になった「交換」「協力」という要素は、ゲームを介した新たな「内輪」を作り出した。ポケモン世代の子供たちは従来の遊びの輪に加え、ゲームを切欠にもう一つの人の輪を得たのだ。

 僕らが好きだったのはポケモンじゃなくて、ポケモンの話で盛り上がれる友達だったんじゃないか。限られた情報を仲間内の秘密の言葉のように使って話せる友達のことが好きだった。

 そんなことを思いながらも新作を買おうか買うまいか迷っている僕は、筋金入りのポケモン世代の一人なんだと実感している。